2013年08月07日
レトロへの道

最近レトロについてよく考えるんですけど、コレばかりは既製品でまかなうことは出来ず、
最低条件として経年使用(もしくは放置・寝かせ)が大前提でありまして、どこかで新品に
交換してしまえば、もう戻るどころかレトロへ進む事も不可能となります。
新品のいわゆるレトロ風といった物の数々も、大いに溢れておりますが、それって何か
物凄く精神衛生上不安定というか、ともすれば苦笑いを伴ったセンチメンタルな感情の
発生を促す要素である気もします。
当館なりに考えるレトロというのは決してただ古いという物でなく、現時点まで至るに当たり
どれだけ多くの時・人(お客様)・空気・季節などをその物自体が見て接して来たか、
そしてその経験ある物にしか表現できない風合だと思います。
一種の神秘であるとすら思いますし、不特定多数の人・時間をスルーさせることは、
一般家庭では通常無理だと思いますので、コレもまた当館はじめ宿泊施設の醍醐味
の一つとお考えいただければ幸いです。
館内の物、特に古ければ古いほど慣れた景色として、もしくは永年の勤続を称えて、
どれだけ多くの人が清掃し拝見し使用してきたか想像し、もっと言えばどうして私の
祖母や親たちはコレを導入したか、その時どんな時代であったかなど考えると、
胸が熱くなりホントに愛着が持てます。
ただし機能を有するもの、持続できたものだけが得ることが出来るのもレトロの条件です。
本日の日中の洗面台の取替え作業を持って、新庭園風呂の工事が全て終了いたします。
今まで積み重ねてきたものも全て流し、今日から新たなレトロへの道が始まります。
(画像は風呂とは全く関係ない402の室内洗面の本日です)
ちなみにここまで言ってこういうこと言うのもアレですけど、レトロという言葉自体は
結構嫌いです。
Posted by 友家ホテル at 10:50